柏エシディシ

ブルーベルベットの柏エシディシのレビュー・感想・評価

ブルーベルベット(1986年製作の映画)
3.0
ようこそ、官能と倒錯の世界へ。
後年のリンチ作品と較べると、意外なほど真っ当な構成で着地もストレートなんですよね。
、、、と思いながら観てたんですけれど、アレ?待てよ。と。
物語序盤、引きちぎられた耳の溝の中にカメラが引き込まれるショット。あれってリンチ的文脈でいうと、あちらの世界への扉が開き招かれる事を示している訳で、それじゃぁ、アレ以降のジョフリーの冒険ってば、、。そう考えると、またちょっと違って観えてくる。
どこまでが現実で、どこまでが妄想なのか。
ローラ・ダーン演じるヒロインも、典型的なお嬢さまヒロインで登場人物の中で1番マトモに思えるのだけれど、登場シーンとかあの泣き顔とか観ると、やっぱどこか変。
一見マトモで理想的な世界に見えていても、薄皮一枚剥がれたその裏側には蟲が蠢くような禍々しい世界が隠れているってことか。

キャリアがその頃停滞していたデニス・ホッパーはリンチにフランク役を演らせるように半ば強引に迫ったそうな。
あの滑稽で、それでいて鬼気迫ったフランクを観ているとそのエピソードの信憑性は間違い無いと思う。
もちろんマミーファーック!のフランクも大好きだけれど、バーでドロシーの唄に静かに耳を傾けるフランクも忘れ難い。
柏エシディシ

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