ぬーこ

ブエノスアイレスのぬーこのレビュー・感想・評価

ブエノスアイレス(1997年製作の映画)
3.2
監督 ウォン・カーウァイ
舞台 ブエノスアイレス🇦🇷

ウォン・カーウァイ4作目。だいぶ慣れてきた。撮影のクリストファー・ドイルって人も好き。

ウィン(レスリーチャン)とファイ(トニーレオン)2人の男の愛憎劇。
くっついて離れてを繰り返す。勝手なウィンと振り回されるファイ。ファイはウィンのパスポートを隠し、そして去っていく。
結局一人でイグアスの滝も観に行く。ファイを女性に置き換えると分かりやすい。

レスリー・チャンっていう人は悪い男が本当に似合う。欲望の翼のまんま。
トニー・レオンはこの顔でゲイ役だと三島由紀夫を彷彿させる。かっこいい!

練習したけど上手くできないアルゼンチンタンゴ

ブエノスアイレスから香港はちょうど地球の真裏。逆さに映す香港の街並み。

ゲイの人って攻めと受けがあると思うんだけど、攻め同士が愛し合ってしまったらどうするんだろう。交互にするのかな?受け慣れてない人は大変そう。

目より耳の方が大事だと思うんだ。
耳は心の中まで見渡せる。


※今回、ウォン・カーウァイの映画4本観たけど、どれも此処ではないどこかへという漠然とした意思を持った若者が出てくる。それは青年期のモラトリアムでもあり、香港のことでもあるように思えた。周知の事実であるが、香港がイギリスから中国へ返還されたのは1997年。返還前夜に自分達は国を持っているのか、帰るべきところはどこなのかを問うているように思えた。ブエノスアイレスの最後はもう一人の恋人候補の故郷台北(台湾)に行き、鄧小平の死を知る。自由化を進めた本土の指導者の死が
今後の香港にどんな影響を与えるのか先行きの分からない香港とウィンを重ねるようだ。でも彼は言う。会おうと思えばいつでも会えるのだ。希望的な終わり方だと思った。

2021.17
ぬーこ

ぬーこ