キョーカイ

サイコのキョーカイのネタバレレビュー・内容・結末

サイコ(1960年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

(自分用)
(高校の時の雑な感想)

以前から見たいと思っていたアルフレッド・ヒッチコックの最高傑作・サイコ。
かなり怖いのかなと思っていたらそうでもなく、普通のサスペンスという感じ。本編ももちろん素晴らしかったですが、さらに面白かったのはBlu-rayの特典としてついていた、解説映像。
サイコ公開時のプロモーションの様子や、ヒッチコックが後世に与えた影響などが内容。ヒッチコック作品のカットとそれをもとにして作られた今の監督たちのカットが流れて面白かった。
確かにヒッチコック作品は独特のカットやカメラワーク、カメラの位置だし、カットの見せ方が本当に上手い。えっそんなとこから撮るのか!というようなカメラ位置が随所にある。これがヒッチコックが巨匠と言われる所以なんだなと思った。初めてヒッチコックの凄さを実感した。このカットの作り方は出来る様でできないんだろうなぁと思った。

カット割りも凄ければ、やっぱり内容もなかなか凄かった。
観ただけでは、凄さが分からないところもあったが、解説映像で確かになぁと思った。
中盤部分までは、金を盗んだマリオンが警官に疑われながら逃走していく流れ、しかし、止まったモーテルでマリオンは殺されてしまう。
主人公を殺した作品はこれが史上初だったようです。

そして、物語は急展開しマリオン殺しの犯人探しになっていく。しかし登場するのは、マリオンの親族とモーテルの男だけ。でも、モーテルの男(ノーマン)はマリオンが殺されたのを見て驚愕し、遺体を捨てただけ。

こいつを疑うのはもういいだろと俺は思っていた、しかし、結末でのまた急展開。まさかの男とその母親の多重人格オチ。あっけにとられたし、もうどんどん謎が解き明かされていくのに圧倒されてもう見ているだけだった。
多重人格オチというのはなんとなく知っていたが、マリオンが多重人格なのではと思っていて、ノーマンの方は完全にノーマークだった。
ノーマンの母親はすでに死んでいるという話になったらもう分けわかんなくて、もうあーそういうことなのかという感じだった。

当時は多重人格オチなんて異例中の異例。もしかしたら今作が初めてだったのかもしれない。だからヒッチコックは結末他言無用と言ったのだろう。

この結末は絶対に予想できないと思う。まさか母親をノーマンが演じているなんて全く想像できなかった。すさまじいどんでん返しだと思った。そう思ってしまったのはカメラワークやカット割りの上手さもあっただろう。脚本やカット割りのすべてが組み合わさって一つの映画になっているのは、まさに作品だし、今の監督でこのレベルの作品をつくれるのはなかなかいないだろう。終盤での加速感はすごいし、どんどん謎が明かされていくのも凄かった。やっぱり天才なんだなと思う。

普通に思えるカットも今のそこらの監督のカットとは全然違うし、緻密に計算されている。
有名なシャワーシーンのカット割りはやっぱり凄い。普通の映画では出て来ないようなカメラアングルがしょっちゅうあるし、探偵が殺されて階段を落ちる時、カメラも一緒に水平に落ちていくのは凄かった。シャワーシーンの音楽が今ではどのバラエティでも使われているような有名な曲で、この曲サイコの曲だったのか!と思ったし、あのBGMは凄い。作曲;バーナード・ハーマン。

やっぱりモノクロもいいなと思った。モノクロだからこその良さなんだろう。カラーで撮っちゃったらたぶん良さは半減する。

キャストに関しては、マリオン役の女優は、美人で序盤など随所に下着シーンがあったのがよかった笑。
ノーマン役の俳優も凄い。結末で母親の人格でしゃべっているときの演技は凄いし、登場した時からなんか嫌な感じを彼に対して感じた。それも演技なんだったら凄い。

最近は、二重人格の人物が犯人だったというパターンのドラマや映画も多いけど、二重人格を演じられる俳優は皆凄いと思う。まったく人が違うのに同じ肉体で上手く演じ分けているのはさすがだと思うし、これぞ俳優だと思う。多重人格ものは好きなのでぜひ他のも見てみたい。

内容もさることながら、解説映像で見せられたカット割りの凄さに驚いてしまった。明らかにそこら辺の監督とはレベルが違うし、独創性も高い。ヒッチコックの凄さを感じた。モノローグや、モンタージュが巧みに使われているらしいがそこはよく分からなかった笑。
ぜひもう一回見ていたい。
特典映像ももう一回みたい。本編に勝るとも劣らない良さだった。

((映画の前半では、マリオンの犯した横領をめぐる心理的葛藤を描くクライム・サスペンスの様相を呈し、「クルマを購入する際の不自然な挙動」や「それを不審に思う警官」など、不安定な心理状態と緊迫感が丁寧に演出される。ところが、彼女は何の前ぶれもなく刺殺される。モノクロながら凄惨な映像と音楽は、数々の作品において模倣やパロディーを繰り返される。細かなカットは、タイトル・シーケンスも手がけたソウル・バスの絵コンテによる。後半では、マリオン探しが主眼になり、謎とサスペンスは次第にベイツ・モーテルへと集中していく。探偵殺害シーンでは“カメラが人物の背後からはるか頭上へ1カットで急速に移動する”など、多くの映像テクニックが駆使され、殺人者の謎を隠しながら違和感のない演出となっている。最後にマザーコンプレックスのノーマンがかばう母親の正体が明らかになり、物語は「この世にいないはずの人物によるモノローグ」という大胆かつ実験的な終結を迎える))