中島何某

サイコの中島何某のレビュー・感想・評価

サイコ(1960年製作の映画)
3.8
2020年 35本目

古典サスペンスの有名作と名高い『サイコ』を、年上の映画フレンズの勧めで観た。始まって30分間であの有名なシャワーシーンが流れ、「きたー!名シーンだ!」とマックの席で静かに心中で叫んだ。
また、本作は“●●●●”がトリックとして用いられており、今でこそ使い古されたネタであるが、1960年当時にこのトリックを使用している事に、ヒッチコックの先見性が優れたものであったと感じた。

金に目が暗み、四万ドルを持ち逃げし、終いには殺されたマリオン。因果応報とも言える展開であるが、彼女に同情出来なくもない。逃げる途中に出会す警官や、得体の知れない気持ち悪さを孕んでいるノーマンの様子に、観ているこっちもヒヤヒヤしてしまうのだ…。
また本作の登場人物はそこまで多くないが、どれも魅力的な人間模様を繰り広げてくれた。ハンサムだがどこかクズっぽさもある恋人サム、金は持ってるが品位までは手に入れる事が出来なかった富豪トム・キャシディ、古畑任三郎の様なねちっこい雰囲気の私立探偵アーボガスト、これ以上挙げるとキリがないのでやめておくが(意外と登場人物いたわ…汗)、彼等の様な、凡庸かつ想像に難くない人物の存在があったからこそ、犯人の“サイコ”な部分がより際立ったのではないか、私はそう感じた。

ラストの“彼?”のカットは映画史に残る表情といえよう。