りえあおき

暗殺の森のりえあおきのレビュー・感想・評価

暗殺の森(1970年製作の映画)
3.9
トランティニャンの硬めの表情、ずっと見てられる。騙し絵的でグラフィカルな画作リ、しびれる。光と影。見えてる人と見えていない人。赤と青と黒。マグリットそのものな構図。

生きやすくしようとするあまり、心を偽って生きる人の顛末。行き過ぎた処世術。生きていれば 誰しも心を偽る危機にさらされる。こういう ぶれぶれの人が主人公、っていうとこに惹かれる。

ポリシーなく中立、中庸でいようとする人の危うさと、いざとなったら長いものにまかれていく愚かさ。今でもSNSで毎日目にする光景。

以前トム・クルーズの #青春白書 を観た時に、 監督が暗殺の森を参考に制作した、という記述を目にして興味。慌てて観てみたら すっかりはまってしまったのでした。コロナウィルス流行期に なぜか繰り返しみた。

赤と青の点滅は タクシードライバーのオープニングでも出てきて、アメリカンニューシネマ以降の、作家主義的な映画監督に物凄く多大な影響を及ぼしている、であろう一作。

この撮影監督がのちのアメリカで沢山の撮影を担当していることからもうかがえる…なんて事に、大人になってからようやく気づく。それも納得の、何度みても毎回 気づきと新鮮な面白みと奥行きを体験できるマスターピース。

原題は日和見主義者、順応主義者。日本語タイトルのせいで 色々ハードルが上がっちゃってる気がする。

memo
https://note.com/cinefilwowowplus/n/nf2ceee7377ad