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暗殺の森のmfのネタバレレビュー・内容・結末

暗殺の森(1970年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

何だろう。ベルナルドベルトルッチの作品て全編不穏なというか不安な心許ない雰囲気が漂ってるんだけど、シリアスな雰囲気の中無駄に明るいダンスシーンがそれを際立たせている気がする。
ラストエンペラーレビューで疲れたんで、あらすじwikiから拝借!すんません。


あらすじ
1938年、第二次世界大戦前夜のイタリア。哲学講師マルチェロは、少年時代のトラウマ―同性愛者の青年リーノを正当防衛ではあるが射殺してしまった―に今でも苦しみ、それから逃れるようにファシズムに傾倒していた。友人のイタロの仲介でファシスト組織の一員となったマルチェロは、大学時代の恩師であり反ファシズム運動の支柱でもあるルカ・クアドリ教授の身辺調査を任される。彼はブルジョワ家庭出身のフィアンセ・ジュリアを伴い、新婚旅行を装ってパリへと旅立った。

パリでクアドリ教授に迎えられたマルチェロは、その美しい若妻アンナに魅了される。アンナはマルチェロが夫の身辺を嗅ぎまわっていることを警戒する一方で、彼を誘惑もする謎めいた女だった。クアドリはマルチェロの正体を知ってか知らずか、「君はいつか自分の主義を捨てる日が来るだろうよ。」と予言めいたことをつぶやく。間もなく組織の指令は、クアドリの身辺調査から暗殺へと変わり、監視役として屈強なマンガニエーロという男が、マルチェロたちにぴったり張り付くようになった。

マルチェロたちがナイトクラブへと出かけた際、夫妻は翌朝パリを発って、サヴォイアの別荘へ行くつもりだと告げた。アンナはマルチェロ達も来るように勧めたが、ジュリアがためらうのを見て、アンナもパリに留まることにした。マルチェロにとってもその方が都合が良かった。クアドリがひとりで別荘に行けば、その車上で任務を遂行でき、アンナも救うことができると考えたからだ。アンナがジュリアを誘ってタンゴを踊るのを眺めながら、マルチェロはマンガニエーロに翌日、サヴォイアの森周辺で暗殺を実行するように伝えた。

凍えるような大気のなか、暗殺の日を迎えた。クアドリの車が出発し、マルチェロとマンガニエーロの乗った車も後を追った。森に差し掛かる手前で、クアドリの車の助手席へ何故かアンナが座っているのに気づいたマルチェロは焦燥に駆られる。アンナが尾行してくるマルチェロ達の車を一瞥した時、山道の途中で一台の車が止まっていた。クアドリが車外に出ていくと、潜んでいた組織の暗殺者たちが次々に現れ、彼をナイフでめった刺しにした。それを車中からじっと眺めるアンナ。やがて耐えきれなくなったのか、車を飛び出しマルチェロに助けを求めるが、彼は微動だにしなかった。自分を助けも殺しもしない男に声にならない叫びをあげて、アンナは森へと逃げていく。そんな彼女の背後から暗殺者たちが銃弾を浴びせた。顔面から血を流しながらアンナはやがて息絶えた。一部始終を見ていたマンガニエーロは、アンナを見捨てたマルチェロをなじる。彼はそれでも車中で身を固くしているだけだった。

それから数年のち。時代は大戦末期に移り、ファシズムも崩壊しかけていた。マルチェロ夫妻には子供ができ、かつてのブルジョワ生活は影も形もなくなって、ジュリアにかつてのような明るさは無くなった。街路ではムッソリーニ像が引き倒されて、人々のファシストを糾弾する声が響いていた。そんな中でマルチェロは盲目のイタロを伴って街へ出た。街娼がたむろする界隈に差し掛かった時、マルチェロは信じられないものを見た。粗末なベッドに寝ていた白髪の男、それは少年の自分が殺したと思っていたリーノだった。自分がファシズムに傾倒した理由となったトラウマは、皮肉にも勘違いに過ぎなかった。そして拠り所にしていたファシズムも今まさに崩壊しようとしている。混乱したマルチェロはイタロを置き去りにして走り去り、いずこかの路地裏に崩れおちた。その放心した顔に揺れるろうそくの明かりは、来るべき彼の崩壊を予言するかのようだった。
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