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カンバセーション…盗聴…のRyuのレビュー・感想・評価

カンバセーション…盗聴…(1973年製作の映画)
3.7
第27回カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞。
第47回アカデミー作品賞にノミネート。ちなみに作品賞受賞は同じくフランシス・フォード・コッポラ監督の「ゴッドファーザーPART2Ⅱ」

通信傍受を生業としているハリー・コールはとある会社の重役から依頼されて公園で密会する若い男女の会話を盗聴する。一見他愛もない世間話に聞こえるのだが、なにか不審なものを感じたハリーは依頼人の補佐官にテープの受け渡しを拒否する。

オープニングから不穏な臭いがプンプンします。群衆の中のパントマイマーに焦点を当ててからのジーン・ハックマン。このオープニングだけで、なんかこうプライバシーなんてあったもんじゃない みたいな感じがして気味が悪かったです。
何度も何度も繰り返し流れる男女の会話。内容は世間話なのにここまで繰り返されるとなんか不気味に感じてきます。この会話一本だけでここまで緊張感のある作品をつくるのは流石コッポラ監督といったところでしょうか。ただテーマがこれだけなので中盤の教会から仲間と飲むシーンあたりは多少の中だるみを感じました。これによりハリーという極端な秘密主義の人間を説明してくれていたんだと思いますが、ちょっと諄いかな。
終盤はスリラーか ってくらいにおどろおどろしい雰囲気も醸し出されていてめっちゃ秀逸なものに仕上がっていたと思います。どんどん信用できる要素がなくなっていき、自分で確かめようとするんですが、心配が膨れ上がりすぎて自我でさえ疑わしいくらいに。そこからのあの展開にはゾクゾクってきましたね。
音楽も少なくて、その分使われてる部分ではめっちゃ怖〜い音楽が使われていたりして演出面からも気味の悪さ、ハードボイルド感を存分に堪能できました。
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