カンバセーション…盗聴…の作品情報・感想・評価

「カンバセーション…盗聴…」に投稿された感想・評価

このレビューはネタバレを含みます

[孤独感の描きようがなかなか良かった]

 なかなか良かった。フランシス・フォード・コッポラの脚本が本当によく作り込んであると思った、特にあの女性にまさか、という所で大事なものを取られてしまうところなど。

 しかも、何より、ジーン・ハックマンのハリーがあれだけプライバシーを守っているのに、却ってそれを奪われていき、それが今の我々の孤独感を象徴的に描き出す所が素晴らしかった。

 最後のやるせないサックスを吹きまくる所がとってもいい。 (2016.7.10)
役者の演技のリズムと編集のリズムが絶妙にマッチした映画はそれだけで魅入ってしまう。この作品はそんな映画だった。名匠ウォルターマーチの編集技術を堪能した。編集ってのはただ映像をぶつ切りにしてそれを適当に繋ぎ合わせるんじゃなくて、役者の演技のリズムや呼吸を見極めて、最適なタイミングやリズムで映像を繋いでいく事が重要なんだなと思った。
余談だけどトニースコットのエネミーオブアメリカのハイテク隠居老人はこの作品のジーンハックマン演じるコールを踏襲してる事は間違いない。この作品のラストで疑心暗鬼で気が狂った挙句、エネミーオブアメリカであんなハイテクの要塞に籠るようになったと思うと感慨深い
タニー

タニーの感想・評価

3.0
職業病通り越して、最後は少し精神病んでしまった感じ。
盗聴のスペシャリストは大変だなぁ、人を信用するのが難しそう。
コミュニケーション、プライバシー、私的な領域、公的な領域、通じ合うこと。
盗聴という行為を通して、人は本質的に通じ合うことはできないということを見せられたような気分になる映画だった。

人の生活の中に立ち入ること。
それは、コミュニケーションなのではないかと思う。
加害性を伴うコミュニケーション。
人と通じ合おうと思うのなら、加害性と無縁ではいられない。
ということは、自分をさらけ出す被害性とも無縁ではいられないということだ。
盗聴という行為が、ずるく卑しい行為なのは、その被害性から逃げるからなのだと思う。
コミュニケーションにおいて加害性と被害性は背中合わせなのに、そのどちらかを放棄するコミュニケーションなど成立するはずがない。
主人公が妄想にとりつかれるのも、その被害性から逃げ続けたからだ。
「俺はテープを渡すだけで、殺してはいない」
と逃げ続けたからだ。

私たちは、人と通じ合いたいと願う時加害性を自覚して、同時に自分をさらけ出す痛みを相手に差し出さなければいけないのだと思う。
三池崇史が「オーディション」で暴力によって通じ合う男女を描いたように、私たちは加害性と被害性という関係に互いの身を置かないと通じ合うことができないのかもしれない。
F.コッポラ監督初期の意欲作!
盗聴のプロの男(ジーン・ハックマン)が、依頼を受けてあるカップルの会話を盗聴したことをきっかけに、精神的に追い詰められていく心理スリラー。
依頼人とカップルにまつわる事件の真相は曖昧なままで、あくまで男の心理状態を克明に追っているのが面白い。小さな棘のような疑念や罪悪感が、じわじわと幻覚や妄想、狂気へと変わっていく。70年代の主役級俳優さんって、ぶっ壊れる役が多くて大変ね〜

録音したカップルの会話の反復と、淋しげなピアノの旋律が、不穏な空気を掻き立てる。
ジリジリ展開で台詞も多くない分、画面を見ていろいろ察しなきゃいけない感じ。散々溜めてからの終盤の急展開と、立場が逆転するラストは、驚いたし怖かった!

ハリソン・フォードはちょい役かと思ってたら、意外にキーパーソンだった。
あと個人的には、これでようやくジョン・カザール出演5作品を、コンプリートできたのが嬉しい!
Mark

Markの感想・評価

2.8
んー。イマイチだったなー。
中盤からラストにかけて少し盛り上がるけど、主人公の内面描き過ぎで面白みにかける。
冒頭、広場盗聴シーンの無骨なリアリティに惹き込まれたが、後半からは犯罪モノというより、主役のジーン・ハックマンの孤独を描いた内省的な作品になってしまってちとゲンナリ。
ヒルコ

ヒルコの感想・評価

2.9
なるほど、と思ってしまうような映画でした。盗聴が何かを知り尽くした彼にとって、正常な精神においてはこれから平穏が訪れることはないのでしょう。つーか主人公が40前半には見えないよ!
【たった1つの“会話”を巡る渋いサスペンス】
◉1974年度カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞。
冒頭の公園のシーンで1組のカップルから途切れ途切れに聞こえてくる会話。この1つのシークエンスがこの映画の重要な軸となっていて、たった1つのシークエンスと会話でここまで物語を構成できるとは驚き。
クライアントから依頼されてこのカップルの会話を盗聴することになった盗聴のプロのコール(ジーン・ハックマン演)は次第にこの会話にのめり込んでいく。路上ミュージシャンの音楽で会話が聞こえなくなっている箇所を特殊な機械で背景の音を消すと…なんとも不穏な会話が聞こえてくる。
カップルの身に何が起こるのか。不穏な何かが迫っていると知りながら見て見ぬ振りをできないコール。堅物で熱心なキリスト教信者の中年男性は徐々に平常心を失っていく。
クライアントの秘書が若かりし頃のハリソン・フォード。嫌味で洗練されたエリート感が似合っている。
アメリカ映画にありがちなカーチェイスや銃器戦はなく地味だけれども、ジーン・ハックマンの渋さやコッポラのモンタージュ技術などが大人なサスペンスを演出している。
中庭

中庭の感想・評価

3.5
繰り返し音声のみが抽出される最初の会話が、信じられないほど無限に再生することによってむしろ次第に意味や抽象が剥がれ落ちていくのに対し、ジーン・ハックマンはその空虚な物質性に「真実」なるものを見出そうと突き進んでいくため、観客の感覚と不気味な乖離が起きていくような感じがあった。極限まで切り刻まれた映像と音声のモンタージュを、ミステリーの題材で劇映画として成立させてしまったハイブリッドさが最も重要な特徴かもしれない。中盤の、盗聴会社の友人や仲間たちと自室で談笑する流れがあまりに長くて、すごく不安になる。
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