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シービスケットのRyuのレビュー・感想・評価

シービスケット(2003年製作の映画)
3.8
大恐慌に苦しむ1930年代 アメリカ。厩舎に見放された競走馬 シービスケット、不況で一家離散となった青年 ジョン・ポラード(通称 レッド・ポラード)、息子を事故で亡くした自動車ディーラーのチャールズ・ハワード、時代に取り残されたカウボーイ トム・スミス。出会った彼らはシービスケットを名競走馬に育て上げ、数々のレースに臨む。

大恐慌時代に実在した競走馬 シービスケットと3人の男たちの姿を描いた同名小説を原作とした作品です。第76回アカデミー賞にて作品賞にもノミネートされました。主演のトビー・マグワイアは製作総指揮にも名を連ねています。
大恐慌でみんなが苦しむ世の中。傷を抱えた3人の男が集まり、それぞれ騎手、馬主、調教師 となります。シービスケット自身も荒々しい性格から、見放された馬になります。それぞれ傷を抱える中、互いに協力して成功を目指す。サクセスストーリーとして間違いですね。
さらに傷を抱えているのは彼らだけではありません。大恐慌 という時代は国民全体が希望を失い、苦しんでいました。そこにこのような見かけに囚われずに成功を収めていくシービスケットの姿は多くの人に勇気を与えます。3人の男と1匹の馬、広い目で見れば小さな努力かもしれませんが、それがここまで大きな希望になるってのは胸がアツくならざるを得ないです。
3人の男の関係性や、ポラードとシービスケットの絆など、しっかりとドラマもあって、これがラストの感動をさらに素晴らしいものにしてくれています。度重なるアクシデントがあっても、諦めずに不屈の精神で頑張った先にあるゴールほど感動できるものはないでしょう。
トビー・マグワイア、ジェフ・ブリッジス、クリス・クーパー。この3人の演技がまぁ良くて、キャラクターとしても魅力的だったと思います。そんな彼らが再生していく様は、見てて気持ちがよかったです。色んな音を使って解説するウィリアム・H・メイシーもおもしろかったです。
レースシーンも迫力あって、特に最後のレースは実際のレース運びを忠実に再現したみたいです。スポーツものとしてアツくなれて、動物ものとして感動もできる。そこに男たちのドラマまで加わって、非常に満足感のある作品でした。
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