本作『リスボン特急』公開から一年後、メルヴィル55歳という若さで死する。やはり体力的に限界だったか、メルヴィル作品にしては尺がかなり短く、いつも以上に癖が強い。
しかしぶれない作風や脚本にはやはり痺れさせられる。いつも以上に濃いブルーにカッコよさを狙っきてると思わずにはいられないほどの多数存在するカッコいいシーン、アランドロンのみ許されるようなクールな言い回し。癖の強さもまた一味違っていい。
エンディングのモランとコールマン(アランドロン)の表情が素晴らしい。あんな顔なかなかできない。
メルヴィルの駄作とも言われている本作だが『ゴッドファーザーIII』同様、今までの作品が異常なほど素晴らしかっただけ。
今までの凄みは無いかもしれないが、メルヴィル作品の中では最もアランドロンがカッコ良く尚且つ今までメルヴィル作品で魅せて来たアランドロンのクールな一面が全面的に輝いている作品なのではないだろうか。