えそじま

チャイニーズ・ブッキーを殺した男のえそじまのレビュー・感想・評価

4.4
アメリカ的成功と快適さの夢、混乱と混迷、冷酷と裏切り、偽り、孤独を生き抜いた不器用な中年男。自慢の創造物である安っぽいナイトクラブには、常に視点がぼやけ、光っては消えるを繰り返す画面の哀愁が漂っている。憐れむと同時にそれは自分の目の中がちかちかしたに過ぎないようにも思われた。


「…たとえ彼のクラブが彼のしがない、つまらない、即興的な存在の延長だとしても、彼はそれを運営するために血の滲む思いをしてきたのである。このフィルムを貫く悲しく感動的なジョークは、たとえ三十分の間でもギャングたちが、彼を脅し、彼を殺すことでクラブはそれとは関係なく崩壊していくということである」(レイモンド・カーニー『カサヴェテスの映したアメリカ』、梅本洋一 訳)
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