小津安二郎監督作品の名作のひとつ。
夫婦のあるべき姿を日常の会話、行動から見事に描いている傑作。
佐竹茂吉の妻である妙子は、影で「鈍感さん」と呼ぶ夫にお忍びで、友人のアヤと共に温泉旅行に行こうと計画する。
一度は姪の節子によって失敗に終わるが、改めて計画を実行し、4人で旅行に出掛ける。
そんな中、節子のお見合いが決まるのだが、これをきっかけに佐竹夫妻の間に大きな溝が出来てしまい、妙子は家出をしてしまうのである…
さすが小津安二郎としか言えない絶妙な演出と構成、芝居、そしてテーマだった。
今で言う女子会の華やかなところから動き始める訳だが、そこから不安な様子がじわじわと出て来て、妙子の家出で一気にヒートアップ。
そして、タイトルのように収束して行く様子が素晴らしかった。
決して派手さは無いが、頭と心にしっかりと刻まれる名作である。