星降る夜にあの場所で

1票のラブレターの星降る夜にあの場所でのレビュー・感想・評価

1票のラブレター(2001年製作の映画)
4.5
夏ですね~⑱

大好きな作品の一つです♪

選挙管理委員会の要請で票を集めに奔走するひたむきで質樸な少女の理想と使命感を押し潰そうとする無慈悲なエピソードの数々が、
睡眠時間を削って島の道案内に振り回される愛想のない警備兵との距離を徐々に縮めていきます。

「どのみち俺は眠れそうにない」

最後に警備兵が相棒に向かって呟くこの台詞。
眠たくて仕方ないはずなのに、なぜに眠れないのか?

その前から何度もキュンキュンきてたんですが、
この台詞でドキュ~ン!と喰らわされました(笑)

本作品を鑑賞して以来、この監督の他の作品が日本で公開されるのを心待ちにしています♪

【ここから先は作品とは無関係です】

たまに私の感想文に登場する母方の祖父。
この物語は彼の若かれし頃のお話です。
実話として母が祖父(明治44年生まれ)の友人から聞かされたとのこと。
実話だとすると何とも切ない悲劇です…
昔話風に書いてみます。

~三間半の恋文~

昔々あるところに飛行機が大好きな青年がいました。
青年は裕福だった祖母のコネを使い
暇が出来れば飛行機で香川の空を飛んでいました。
当時、民間人が飛行機を運転するのは珍しく
町で評判のドラ息子と言われていました。

そんな青年がある女性に恋をしました。
その女性もロマンチストな青年を好きになりました。

ある日、青年は飛行機に乗っている自分の姿を
愛する女性に見せたくて女学校のグランドを
低空飛行で飛んでみせました。
ところが無理な飛行によって
操縦不能になり海に突っ込んでしまい
運よくかすり傷で済んだのですが
祖母から飛行機操縦禁止令が下され
二度と飛行機には乗れなくなってしまいました。

それからというもの彼にとって幸せな時間といえばは、彼女と一緒にいる時間だけとなりました。
彼は彼女を、彼女は彼を心から愛していました。

そんなある日彼に縁談の話が持ち上がりました。
彼は両親と祖父母に彼女の話をしました。
ならば一度家に連れてきなさいという話になり
家に彼女を呼んで両親と祖父母に会わせました。

器量もよく愛想もいい女性だったので、祖父母が気に入り
縁談を断りこのまま結婚という運びになる寸前にあることが発覚します。

彼女は生まれつき喘息を持っていたのです。
その時代は、喘息は遺伝すると信じられており
喘息持ちの女性は毛嫌いされ結婚出来ませんでした。

家族の猛反対を受け、青年は別れさせられてしまいました。
彼女の方はショックで寝込んでしまい、原因不明の病に伏してしまいました。
それでも彼女は青年の事を忘れられず、必死に思いの丈を綴ります。

恋文は青年の友人によって秘密裏に届けられました。
所々文字が涙で滲んでいました。
彼女の長い長い手紙を青年もまた涙を流しながら何度も何度も読み返しました。

彼は返事を書き始めたのですが、途中で眠気に襲われとうとう寝入ってしまいました。
食事の時間を知らせに来た妹がその手紙を見つけ父親に喋ってしまいます。
父親はその手紙を息子から取り上げました。

そして…二日後…
心労が祟ったのでしょうか。
彼女は帰らぬ人となってしまいました。

それを聞いて青年は半狂乱になりましたが、
結局親に決められた女性(私の祖母)と祝言を上げることになりました。

父親は、こんな手紙を残しておくのは縁起が悪いと燃やしてしまいました。
三間半にも及ぶ長い恋文でお茶が沸いたという逸話が残っています…


夏ですね~シリーズはここらで終了しようと思います。