ダニー

ダンサー・イン・ザ・ダークのダニーのレビュー・感想・評価

4.5
暗闇の中でも踊り続ける
それは目が見えない暗闇か先の見えない境遇としての暗闇か
セルマは身体的特徴での盲目と精神面での息子への盲目的な愛、二つの意味で盲目の人と言える

ちょっとドキュメンタリーみたいだなと思ってたら急に歌い踊り出したからびっくりした
ミュージカルなの忘れてました
この妄想ミュージカル挟まれなかったら気を抜くポイントが無くて窒息死してたかもしれない
こんな感情の薄暗くなるミュージカル映画は初めて

セルマの視力が作中ガンガンに失われていくのが傍目にも分かって仕事の様子は冷や冷やするし、そんな中でもどんどん仕事を増やしていくセルマ
彼女の視力のことを知っているのはほんの数人で、だから仕方の無いことなんだけど夜勤の時に「もっとスピードあげて」とか言われて厳しい目を向けられてる様子がキツすぎて私が泣きそうになった
足で線路確認しながら帰るシーン、段々空も明るくなり始めていてすごく時間をかけて歩いているんだということがわかる
胸が痛いどころの話じゃない

『愛を読むひと』のハンナの裁判シーンでもあったけど、本当のことさえ言えば問われる罪も罰の重さも変わったのに
それでも嘘をつき続けた(秘密を守り続けた)彼女の真っ直ぐさで善性がより際立つ
刑務官か看守かわからないけどあの女性めちゃくちゃ良い人であの人出てくるだけで泣きました

セルマの前向きな姿、良い友人や隣人が作中せめてもの救いだったけどそれさえも崩れる予感で震えたし見てられなくて何度も中断しながらようやく観終えた
徹底的に救いの無いエンド
過去トップクラスの胸糞映画
ダニー

ダニー