良かった……、入れ込みすぎて主人公にずっと怒りを感じていた。
現実を変えようとするより空想に浸ること、疾患の遺伝がわかっていて息子を産んだこと、自分を愛してくれてる友人にすら頼らないこと、息子に母じゃなく目を遺したがったこと、頭も悪くて全部悪い方に転がること、それを好転させる気力すらないこととか……、めちゃくちゃ自分勝手だし弱いし諦めの塊だし、生きる強さが全然無くて、ずっと緩やかな自殺を見てる気分、鬱患者への「甘えんな！」と全く同じ感情になった。鬱がそうであるように甘えんなとかの話ではないんだけど、生存本能として同種の他個体の持つ弱さを是正したくなっている己を発見する。いや、もちろんめちゃ悲しくもあったけど……、ビル殺すあたりで心が無理になって、怒りの方に流れてしまった。
この主人公の独りで勝手に死んでいく感じ、わりと周囲の人で浮かぶ。たくましいって言われるけど、本当に生きたいならもっとやりようがあるわけで……この隠れ自暴自棄に入った人間が生きるには助けが必要なんだけど、私たちに助けを求めず死んでいくんだからそれは放っておくべきじゃないかとか、そういう難しさを感じていた。
いややっぱり他人事だと思うと的外れになってしまう、この主人公の弱さは全人類の持ってる要素でもある。ずるずる死んでいってしまうとき絶対ある。人間死んでいくのも生きていくのも自分で決められるのか決められないのかいまいち微妙なところで、ほんとに気持ち悪いし最悪だけど私たちって踊ったり歌ったりできるから、もうそれでいいのかもしれないよね、それしか残されてないのかも！？
本作中のミュージカルシーン、最高に楽しいのが仕組み的に逆転して最高に鬱々しいんだけど、本来全部そうだよな。最高の楽しさは最高に楽しくないものに対峙してしか存在しないから。この世は最悪、ミュージカルは最高
