わゆ

ダンサー・イン・ザ・ダークのわゆのネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

 撮影方法の使い分けがすごく良かった。主人公の日常(現実の世界)では目が悪いことで上手くいかない人間関係や、仕事で思い悩む主人公を素人が撮った風で撮り、手ぶれがある。これにより人間味が出る。しかし彼女の妄想の世界では登場人物やその他の人々は彼女の為だけに存在し、彼女のために歌って踊る。そしてカメラに手ブレはなく、しっかりとミュージカルを撮るのにふさわしいカメラワークだった。
 これらの撮影方法の使い分けから鑑賞者は無意識下で現実と妄想を理解できる。
 また暗く八方塞がりな現実と明るくハッピーだったり、自由に歌い踊りミュージカルで表現する時の彼女の顔や動きのギャップが作品に深みと刺激を与えていると思う。ミュージカルという少し違和感のあるものだから良かったのかもしれない。
 現実のシーンは人の表情のアップが多く、顔の演技だけでもここまで豊かなのかと感嘆した。

 最後のシーンで彼女は死を恐れ苦しみ叫ぶが子供の眼鏡を触った時、手術が成功したことを知り、歌い出した。
 彼女は最後まで子供に尽くしたのだろう。その場に子供が直接いたわけではないが子供の為に死ぬのに泣いていたら子供も後ろめたさが残る。だから自分の泣きたい気持ちを強く我慢して歌ったのだろう。そうすれば見に来ていた親友が子供にお母さんは最後まであなたのために生き、それが母にとっての幸せだったと伝えてくれるからだ。
 それに例え死刑を免れ子供とまた暮らせるようになっても目も見えない自分に世話を焼かせるのも嫌だっただろうし彼女はもう人を信用できなくなっただろう。生きていてもきっと地獄だった。それならばと、彼女は死を望んだのかもしれない。

 それと女優さんのビジュアルが良い意味で美人すぎじゃなかったのも良かった。美人すぎても面白かったとは思うけどここまでハマりはしなかったと思う。なんだかずっと見ていて飽きない顔というか。どんどん引き込まれていく感じ。
 彼女の演技は素晴らしく、歌声も良かった。

 
わゆ

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