よしおスタンダード

ダンサー・イン・ザ・ダークのよしおスタンダードのレビュー・感想・評価

4.4
No._

公開当時以来の再見。『黄金の心三部作』の第三作。

★黄金の心三部作

●①奇跡の海 1996
●②イディオッツ 1998
●③ダンサー・イン・ザ・ダーク 2000

========================

最高なのに最悪な映画。『奇跡の海』と続けて見たりなんかしたら、メンタル弱い人はマジで病んじゃうw

ミュージカルは明るくて楽しいもの、という概念を覆した、悪魔的な破壊力を持った映画。

共感力が高く、繊細な心の持ち主が見たら、この映画だけじゃなくて、この映画を撮った「ラース・フォン・トリアー」という人物そのものも、徹底的に嫌いになりそう。

====================

私も実は、ミュージカルが苦手なのだが、この映画の中の、特に列車のミュージカルシーンには鳥肌が立つほど大感動した記憶がある。

呆気に取られて見ていた、という感じ。

これが公開当時大ヒットで、いまだに日本の映画ファンに愛され続けている、鬱映画を代表する一本だが、

子供や家族のためには、不条理だと分かっていても自らを犠牲にする、いわば「破滅の美学」みたいな映画は、

日本だとそれこそ溝口の頃からあるわけで、

そういう映画を見ながらすすり泣いて、いろんな感情を抱えたまま現実に戻っていく、みたいな極上の映画体験は、

昔も今も変わらないのだろうと・・。

そういう意味で、日本でこの映画が愛され続けている理由もわかる気がする。