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ダンサー・イン・ザ・ダークのonotoramanのレビュー・感想・評価

4.5
辛い。こんなに生々しくてストレスのかかる映画はリリィシュシュのすべて以来。最近いい映画を立て続けに見てただけに、こんな楽しみを与えようとしない作品を映画だって思いたくない。でもこれこそ映画なのかも、とも思う。

それにしても主人公の人間性が美しい。周りの人もいい人ばかりでみんな主人公のことが好き。牛嶋くんだったらクズしか出てこないから笑ってられるけど、善良な人が不幸になる様は本当に笑えない。辛い。ビルが部屋から出ていったふりをしているときのあの表情が、特に忘れられない。

そういえばビョークとリリィシュシュって音楽の感じがなんとなく似てる感じがする。主人公の拠り所が音楽っていうのも同じだし。
それからもうひとつリリィシュシュとの共通点として、メッセージがない。同じバッドエンド映画でも戦争や人種差別への反対を訴えるものは多いけど、この2作品にはそれがない(いじめ、障害っていうテーマはあるけど、それに対する視点はない)。ただ偶発的に起こりうる不幸が、たまたま主人公たちに降りかかる。だから見終わった後に感情のはけ口がない。

普段ニュースでやってる不幸な出来事の一つ一つにもう少しだけ想像力を働かせようと思った。
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