山羊

ダンサー・イン・ザ・ダークの山羊のレビュー・感想・評価

4.4
セルマは、なんて可愛らしいひとなんだろう、あわれで、観るのにとても骨が折れます。

バッドエンド映画の代名詞ってくらい、陰鬱な展開をします。元々そんなに幸せとは言えない境遇でスタートし、転がり落ちるたびに、もうこれ以上底はないだろうというところで刹那の夢を見させ、どん底のまだ底があるのかと、もう勘弁してあげてほしいくらいボロボロに堕ちていく様は確実に観る者を選ぶ映画です。

しかしやり方次第で、その運命を避けられたはずです。私は作中に散りばめられた、いくつもの「逃げ道」に気づかずにはいられませんでした。
彼女は、なぜ不用心に秘密を打ち明けたの? なぜ友達や好意を寄せてくれている誠実な男性を頼らないの? なぜ裁判でちゃんとしないの?
すべて事情を知っている視聴者が、セルマの破滅的な立ち回りにヤキモキするところも含めての総合的な陰鬱なんです。
山羊

山羊