HAYATO

しとやかな獣のHAYATOのレビュー・感想・評価

しとやかな獣(1962年製作の映画)
3.5
2024年114本目
鬼才・川島雄三監督の代表作の1つに数えられるブラックコメディ家庭劇
海軍中佐であった父親の指導のもと、息子は芸能プロに勤めてサギまがいの手口で荒らし回り、娘は作家の妾となって絞り取ることに余念がない。母親はそんな親子を温かく見守る。そこに息子が横領金を貢いでいた女事務員が登場し……。
『赤線地帯』の若尾文子さん、『白い巨塔』の船越英二さん、『悪魔の手毬唄』の山岡久乃、『椿三十郎』の伊藤雄之助さん、『用心棒』の山茶花究さんらが出演。
人間の本性をシニカルかつ客観的な視点で描くのがお得意の川島監督らしく、金のために道徳心を捨て去ったような悪い奴ばっかり登場してくる。
団地の一室を舞台に、いろいろな登場人物が入れ替わり立ち替わりで繰り広げる様々な人間ドラマ。
軽妙な会話の応酬が小気味良く、俳優陣の饒舌な感情表現がそれをより一層引き立たせる。
戦後復興から高度経済成長を迎え、勢いづく日本で欲望に駆られる登場人物はまさしく「獣」のよう。一平さんのニュースを見ても思ったけど、人間の欲とは本当に恐ろしいもんだ。
歌舞伎を思わせる音楽の使い方が印象に残った。
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