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しとやかな獣のIdeonのレビュー・感想・評価

しとやかな獣(1962年製作の映画)
3.5
自称元海軍中尉の前田は、作家の妾になっている長女が充てがわれたアパートに一家4人で転がり込んだ、以来、作家に金の無心を繰り返し生活している。長男の実は芸能プロに勤めているが、会計の幸枝と共謀し会社の金をくすねている。しかし、幸枝にとって実はいくつもの金づるの一つであった…というお話。
生きるために社会的モラルを捨てている前田家は、まさにパラサイトのキム一家の原型である。幸枝役の若尾文子が主人公なのだが、前田家の面々を演じる伊藤雄之助、山岡久乃らの長ゼリフが圧巻で、ストーリーが全て前田家のアパートで展開するので、まるで前田家中心の舞台劇を見ているようである。善良な税務署員を演じる船越英二がラストで自殺して果てるのも、置き去りになった傘と鞄で表現されるなど、かなり斬新な幕切れであった。
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