ブラックユーモアホフマン

しとやかな獣のブラックユーモアホフマンのレビュー・感想・評価

しとやかな獣(1962年製作の映画)
4.8
最高。ブラックホームドラマ。

初・川島雄三。

ワンシチュエーション。とんでもねえ家族が住む安アパートの一室に色んな人が来たり帰ったりして話が進んでいく。
あの家族の実にがめつくて本人たちはそれを全く気にしていない面の皮の厚い感じは『パラサイト 半地下の家族』の4人を思い出した。兄妹じゃなく姉弟だったけど、家族構成もほぼ一緒。

あの狭いアパートの中で一体何種類のカメラポジションを使い分けてるのか。部屋内カメラポジションのカタログみたいな映画だった。セットで撮ってるからできることとはいえ、すごい。見事。
ポジション、レンズ、カメラワーク、役者の動線、部屋の構造を巧みに利用して1時間半、全く飽きさせない。

めちゃくちゃ面白かったなあ。

最後、船越英二が◯◯◯ところがちゃんと写ってたらもっと良かったのになと思うのと、終わり方だけちょっとキレ味がなかった気がして残念。

【一番好きなシーン】
夕焼け空をバックに踊る姉弟。どうかしてる!!


21/02/10追記:
元海軍中将の父親が、負け犬の貧乏者のくせに学者みたいな口ぶりで雑学や社会分析を語るのがまた滑稽で面白い。