あんじょーら

おおかみこどもの雨と雪のあんじょーらのネタバレレビュー・内容・結末

おおかみこどもの雨と雪(2012年製作の映画)
1.2

このレビューはネタバレを含みます

映画「サマーウォーズ」が面白かったので見に行きました。が結果は個人的には残念な感じ。すべてがイヤなわけではありませんが、好みの映画では無かったです。





女子大学生「花」は大学に通いながらバイトで生活する少女。講義に出てくる孤独な男性に興味を持ち少しづつ距離を縮めていき、かけがえのない存在になります。だが彼には重大な秘密があり・・・しかし、すべてを受け入れて生活を共にする花と男。しかし子供が産まれ・・・というのが冒頭です。




絵はとても綺麗ですし、自然を写す背景の素晴らしさは写真と見間違えるほどです。臨場感と言う意味でも、水を扱った映像の素晴らしさという意味でも今まで見たアニメーションの中で最も写実的だと感じました。その中にアニメーションの人物が入り込むのですが、あまり不自然ではなく、自然描写を使った演出は良かったと思います。



ちょっとしたネタバレを含みます、かなり表現はぼかしているつもりですが。気になる方は避けてくださいませ。
























が、どうしても私はストーリィにあまり納得が出来なかったです。非常にリアルな現代を舞台に、「おおかみおとこ」というファンタジックな存在を出す事での違和感が拭えなかったですし、そこを飲み込ませるだけの(映画内世界に入り込めなかった)ものがなかったです。「おおかみおとこ」単体であれば飲み込めたかもしれないのですが、その上に畳み掛けるように進むストーリィの進行で「おおかみこども」という存在がさらに飲み込みにくく感じられます。



出産、子育て、というとてつもない重労働であり個人での対処が極めて難しい(せめて両親や祖父母の存在は必要不可欠だと思うのですが)、しかし喜びの大きなテーマを扱っているにしては、対処の難しい部分がある程度の労力で結局乗り越えられるものであり、そこから生まれる喜びを安易に受け取っていると感じさせられました。自宅○○の問題や居住アパート隣人の扱い、もしくは移住後の人間関係の構築のされ方、花に対しての現実的厳しさはかなり短絡な解決なのではないか?と感じます。おじいちゃんとのコミュニケーションレスであるのに強い支持があったりするのも頷けなかったです。



花という非常にポジティブな、弱音をはかない、打たれ強い存在の精神的支えがとても単純視されていて、ちょっと納得出来なかったです。あるいは「母」とは「女性」とはそういうもの、ということなのかもしれません。またそういう意味でも花の声を当てている宮崎 あおいさんという人の個人的特長がそのままであり、どうしても被ってくるのもちょっと原因しているかもしれません。



子育ての楽しい部分を拡大解釈し、子育ての難しい部分を安易に扱っている(獣医か人医かという問題提起も含む、また草平の存在というか好意がちょっと・・・)と思います。なにかそこはかとなく良い結果を先回りに約束されているかのような安堵感が最初から感じられるのが個人的に受け付けなかったのかも。信じて行動→良い結果という感じなんです。花の葛藤が感じられないと思うのです。物語からの「おおかみおとこ」の退場の仕方もちょっと。



タイトルの名前の順も「雪と雨」ではなく「雨と雪」であるのもなんか変な感じをさせます。



とネガティブなことばかり並べてしまいましたが、案外子育て、というのはそういうものなのかも知れないです。私は知らないわけですし。あるいは「子育て」という人間的なものにさえシンパシーを感じなくなった私の人非人度合いが高まっているせいかもしれませんが。



子育てをされたことのある方、これからされる方に、オススメ致します。案外、子育ての終わった女性からは絶賛されるような気がします。そしてボンクラ男子からは酷評されるような・・・というかボンクラでなくとも男性が感情移入させるキャラクターが皆無な部分が気になる。でも、こういうストーリィに異論を差し込むのは人としてどうか?という懸念があるので大きな意味では大絶賛でしょうけれど。