ロマン・ポランスキー監督のサイコ・ホラー。
カトリーヌ・ドヌーヴが熱演です。
美容院で働く、潔癖症で内気な女性、キャロル。
同居している姉と不倫している男の情事の声が夜な夜な聞こえてきて、嫌悪感を覚える。
キャロルに好意を寄せる男性もいるのだが、男性恐怖症的なところもあるのか、付き合うことになれない。
姉と男は旅行に出かけた。
調理途中のウサギの丸焼きを残したまま。
そして・・・
キャロルの眼球のドアップから始まる本作。
ポランスキー監督らしく、観念的な場面も多いのですが、時折挟まれるショックシーンは直接的描写で結構怖い。
キャロルの男性恐怖症を、ひび割れていく部屋の壁や無数に伸びてくる手で表しているところなどがポランスキー監督らしい。
荒れていくキャロルの部屋に漂う死臭が観客にも伝わってくるようだ。
爪を噛む癖があり、髪もだらしないキャロルという役を、ドヌーヴは演じぬく。
ポランスキー監督の要求する表情のクローズアップの連続に、見事応えて見せる。
『ローズマリーの赤ちゃん』とは違ったホラー作品。
なんとも不気味な雰囲気が全編に漂っていて嫌いじゃないです。
ラストの家族写真のアップは、ちょっと気取っているなと思いましたけどね・・・
