Yoshishun

スーパーサイズ・ミーのYoshishunのレビュー・感想・評価

スーパーサイズ・ミー(2004年製作の映画)
3.0
"アメリカで社会問題と化した肥満"

1ヶ月間3食マクドナルドという危険な実験を挑み、アメリカの肥満問題の一因となっているファストフード文化に斬り込むドキュメンタリー。
ただ、実験内容やインタビュー対象の発言から反マスク団体と似たような居心地の悪さを感じてしまった。

アメリカでは食品企業、主に加工食品が大きく進展している。その傍らには各企業の広告戦略の拡大、広い世代に向けた特典戦略、大規模なフランチャイズ化と、様々である。一般的に加工食品は、生鮮食品と比べると健康的であるとは言い難いが、上記の戦略的普及により、世代を超えて需要が拡大していっている。普通のブランド野菜よりも、マクドナルドといったファストフードの方が若者の気を引きやすいし、広告収入もその分増加する。この加工食品業者の影響力は凄まじく、日本のマクドナルドには存在しないスーパーサイズ(Lサイズより巨大)が誕生し、益々国民の肥満化が進んでいく一方という。

ところが、とうとうアメリカで前代未聞な訴訟が勃発。ファストフードの普及により体重が激増した少女二人が、肥満の原因はマクドナルドにあると訴えたのだ。しかしこれにはさすがにマクドナルドだけに責任があるとは言い切れず、敢えなく敗訴となってしまった。この訴訟に着目し、パッケージを見てもわかるような奇想天外な実験を思い付いたのがモーガン・スパーロック監督である。

しかし、この出来レースともとれる実験。最初から健康を害するとわかっていて栄養指導に頼ったり、血液検査を行ったりと、結果が解りきっている。なので、この実験自体にはあらゆる面で突っ込み処があり、終始どうでもよかった。

むしろ、劇中の実験の合間に流される肥満問題の方が興味深い。ファストフードの歌を熱唱する子ども達の教育の場である学校のランチの実態、アメリカで肥満が増加した背景などが語られる。特に学校のランチの実態は生々しく、子どもの意思を尊重しすぎるあまり、好きなものしか口にしない場面には恐怖さえ感じた。「ポテトは野菜」と言い張るJKも強烈だ。

さすがに今はもっと改善されているとは思うものの、かつてアメリカの肥満問題が教育面にも広がっていたのがかなり衝撃だった。本当に監督自身の実験が至極どうでもいいと思えるので、肥満問題にのみ特化したドキュメンタリーを観てみたいと思った。
Yoshishun

Yoshishun