1960年代のスコットランドとロンドンを主な舞台に"元祖"ジェームズ・ボンド以下、各種ジェームズ・ボンドの活躍を描く。非シリーズ作品。
非イオン・プロダクションによる、初の007を扱った作品。
『オースティン・パワーズ』など007パロディの元祖でもあります。
という事で、本家の箸休めで観るつもりだったのですが…ちょっとこれは面白過ぎました。
「向こうが本家ならこっちは元祖だ」という家系ラーメン屋の如き質の悪い主張も最高ですが、本家007のパロディ以上に、社会風刺の利いた作風は洒脱の一言。大人の余裕と知性を感じます。
ゴージャスかつスタイリッシュな美術と衣装、'60s LSDカルチャー全開な実験的前衛映像も最高。そのくせドラッグ・カルチャーを馬鹿にもしていたりする全方位にケンカを売るようなチンピラスピリットも堪らない。
ドイツだからドイツ表現主義で撮るなど、映画的なパロディも満載です。そりゃベルリンの壁もあっけなく壊れます。
何よりバカラックの楽曲が最高すぎて…特にクライマックスとなるカジノ・ロワイヤルでシャボン玉が飛び交う中、本作のテーマ曲に乗せてのオールスターキャストによるスラップスティック・アクションの楽しさとバカバカしさには本気で感動。あまりの多幸感に涙が出ました。
ジョン・バリーの本家の曲が使えていたり、ショーン・コネリーが出てくれれば、もう一段あったよなー…という名残惜しさは捨てきれませんが。
最後はウディ・アレンが核爆発して全員死んで終わります。何を言っているのか分からないでしょう。つまり最高です。
参りました。もう観ないでいいか本家。
■監督:ジョン・ヒューストン、ケン・ヒューズ、ロバート・パリッシュ、ジョセフ・マクグラス、ヴァル・ゲスト
・脚本:ウォルフ・マンキウィッツ、ジョン・ロウ、マイケル・セイヤーズ
・撮影:ジャック・ヒルデヤード
・音楽:バート・バカラック
・原作:イアン・フレミング『Casino Royale』
・原題:『Casino Royale』