このレビューはネタバレを含みます
音楽のセンスや画面の構図が楽しい。主人公を中心に据えるのではなく絵の一部として配置したり。またコミュニケーションは言葉だけでは伝わらないとツァイ・ミンリャン監督自身が言っていますが、それをそのまま実践している風。ある法則によるとコミュニケーションにおいて、人に影響を与える情報の割合は
言語情報(話の内容など):7%
聴覚情報(声のトーンや話の早さなど):38%
視覚情報(見た目など):55%
だとか。だから見つめる触る撫でるやまたその強度で関係性が伝わってきたりする。抱き枕を持ってただ涙しながら寝ていればそれでどんだけ人恋しく孤独か伝わるといった具合に。映画の原点(サイレント)ですよね。
またそれとは逆にヒトの行為はナンセンスだと。煙が立ち込める中でマスク(プラスチック容器にヒモ着けただけの女とビニール袋耳に着けただけの男...^_^)しながらの愛撫は笑えます。外すと煙を吸い込み咳き込むし外さないとキスできないし。
他にヒトの体を拭いてあげる(摩る)シーンが何ヶ所かありますがそれぞれがちがうニュアンスの行為であったり結構奥の深い快作です。