かーくんとしょー

LIMIT OF LOVE 海猿のかーくんとしょーのネタバレレビュー・内容・結末

LIMIT OF LOVE 海猿(2005年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

劇場版一作目が非常に良かったので、続編も楽しみに鑑賞した。
一作目と本作の間にはドラマもあり、同じキャストで連続した作品のため、本作は位置づけ的には三作目。

沈没船する船からの救出劇だが、主人公・仙崎はドラマ版で海保としてどんどん逞しくなっており、最早海保としての成長物語は終った感がある。
その結果、ヒロインとの結婚話をどうするか----つまり男として一人前になるかならないかという話が前面に押し出されている。

それを救出劇と絡めて描くのだが、ちょっと無理があるだろうというのが率直な印象。
命懸けの救出現場でそんなことに目覚められても……。
海保と結婚、別ベクトルで並行して進めたら問題なかったかもしれないが、映画は時間が限られているのでそれも難しい。

海保の活動の方で言うと、本作では佐藤隆太の演じる後輩が新バディとして登場し、彼を育てることが仙崎の新しいタスクになるのだが、事故が目の前で起こった今そんな悠長なことは言っていられない。
また後輩の役柄が中途半端で、過去のバディたち----特にドラマ版の先輩・池澤のような心熱くなるドラマが生まれる予感がなかった。

結婚の方は……海保とは別で実人生の中で成長すべき話ではないか。
一人前の職業人なら必ず一人前の男になれるわけでもないし、そこに因果関係を作りすぎるのは不自然だ。
というか、ドラマ版で池澤先輩の家族愛を見ておきながら往生際が悪すぎるぞ仙崎!(笑)

ちなみに、劇場版一作目は「トップガン」をオマージュしていたが(詳細は劇場版一作目のレビュー参照)、本作は船内からの電話の件り等に「アルマゲドン」からのオマージュが見える。
邦画にしてはスケールは大きい作品だし、絶体絶命のピンチの場面なのは事実だが、二度と戻れないとわかっている宇宙空間と刻一刻と沈む船で同じシチュエーションは成立しないだろう。

一作目のオマージュと発展のさせ方が素晴らしかっただけに、本作のオマージュは元ネタと海猿シリーズへの愛情が足りなかったように思えてならない。

written by K.
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