もの語りたがり屋

パルプ・フィクションのもの語りたがり屋のレビュー・感想・評価

パルプ・フィクション(1994年製作の映画)
4.2
映画の新しいフォーマットを確立した革命作

20年以上ぶりに観返したが、今となっては目新しいものではないかもしれない。
だが斎藤工が「『パルプ・フィクション』前と後がある」と言っていたが、まさに映画界に革命を起こした作品であることは間違いない。

主人公というものを限定せず、並列で存在する登場人物たちのそれぞれのエピソードが巧みに絡み合ってくる展開。
時間軸をずらして伏線を散りばめラストに向けて回収していく構成。
同じストーリーを追うのでも、観る者の受け取り方や感じ方が変わるマジックである。

群像劇やオムニバス(グランドホテル形式)といったスタイルを世に知らしめ、その後のスタンダードを生み出した作品である。

いま観ると正直中身はないようなやりとりが続く。一見退屈に感じてしまう人もいるだろう。
でもその会話劇がなんともウィットに富んでクールなのだ。音楽や演出もかっこよく、その時代のカルチャーもつくり出している。

死ぬまでに必ず観たい一本の映画史に刻まれる傑作。