ちはな

柔らかい殻のちはなのレビュー・感想・評価

柔らかい殻(1990年製作の映画)
3.5
子供の柔軟な想像と無邪気な行動が悲劇を招く
始まりから終わりまで 何となくあやしい空気感

閉鎖的で閑散とした田舎町に両親と暮らすセスはヤンチャなガキ大将(もうすぐ9歳)
大きなカエルのお腹を膨らませてバーンとか 平気でやっちゃう子(ꐦ°᷄д°᷅)
ある日出会った 怪しげな未亡人を自分のつたない知識から吸血鬼と決めつけ警戒するようになる
確かに この未亡人は怪しいのだけど 失意のどん底にいる 可哀想な人
でも 子供のセスにそこまで理解する繊細さはまだ無いのです

そんななか 友達が行方不明になり あろう事か遺体がセスの家の井戸から見つかり・・・と そこから嫌な事が次から次へと起こるのです(ノД`)
ホラーのようなビジュアル的な怖さではなく 「なんなの?」って精神的に不安を煽る怖さ

セスの唯一の希望は兄のキャメロン
しかし 戦場から戻った兄は 未亡人と仲良くなってしまうという セスからすれば 大好きなお兄ちゃんが吸血鬼の餌食になる訳で・・・

色々な偶然がセスの妄想に拍車をかけ 子供の思い込みだけじゃなく 大人もまた 勝手な決めつけで真実を見失う
そして 犠牲になるのはいつも弱い立場の人達

最後の最後まで 救いようのない話
ラストのセスの叫びが全てを物語っているよう

この監督さん 画家でもあるので構図がやっぱ 芸術的
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