ヴぇる

蜘蛛巣城のヴぇるのレビュー・感想・評価

蜘蛛巣城(1957年製作の映画)
3.2
黒澤映画としては評価の高い作品であるが、個人的にはまずまずと言った印象だ。

脚本自体は分かりやすいし、興味をそそりあっという間に本編は終わってしまうが、話の肉付けという意味では物足りなさを感じてしまう。
予言に対して話は進むものの、現代だと驚くような仕掛けや何故そうなったかをキッチリ写しこむ事が上手く表現されてるものが多く、物足りなさを感じてしまうのである。所謂シェイクスピアの翻案なので仕方ないという所もあるが。

また本作はエキストラやオープンセットは黒澤作品随一と聞くが、どうにもその効果を発揮し切れていないように感じる。
この作品での大事な場面は静かな場面での語りや独白、また思考だと思うので、戦闘シーンにここまで割くというのは疑問だ。

まぁしかし、ラストシーンの無数の矢のシーンは映画史に残る物だし時間を忘れて楽しんで見れたのも確かだ。

総評としては七人の侍に影響され黒澤作品をさらった1作目になったが、悪くない印象となった。
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