マルケス

イントゥ・ザ・ワイルドのマルケスのレビュー・感想・評価

イントゥ・ザ・ワイルド(2007年製作の映画)
4.0
いつものように予備知識なしに見始めた。彼なりの結論を得てアラスカを後にするところでENDだろうと、漠然と思っていた。あのラストは言葉がない。

クリスがまだアラスカに留まるつもりでいたなら、これほどの衝撃はない。悲しいのは帰ろうとしたのに川の増水に阻まれたこと。
「Happiness only real when shared.」
(幸福が現実となるのは、それを誰かと分ちあったときだ)
震える文字でそう書き残したこと。
最後に挿入される笑顔の写真に深い溜息が出た。

どうしても複眼で見てしまう。親や社会が理想とする道をワザと踏み外す反抗的だった十代の自分と、現在の親目線の自分と。
クリスの行動は無謀で愚かと批判されるのは当然のこと。それでもこの作品は多くの人の心に残り、アラスカまでクリスの足跡を辿る人もいる。その事実にひとつの真理をみる思いがする。

オープニングの構図はショーン・ペンの映像作家としての才能を感じさせた。一面の雪原。左端に道があり車が止まる。クリスが降りて画面を横切るように雪原を歩いて消える。足跡に被さるようにタイトル。
ショーン・ペンの演出は「孤高の美しさ」を感じさせる。厳しい自然も、深く思考する若者も、気高く孤高だから。
マルケス

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