ヴェル・ディヴ事件は『サラの鍵』を観るまで知らなかった。親ナチスドイツのフランス政府によってユダヤ人が一斉検挙された事件。
子ども4,115人を含む1万3,152人のユダヤ人が東欧各地の絶滅収容所へ移送され、戦争が終わっても子ども達は帰って来なかった。
元ジャーナリストのボッシュ監督は、調査と研究に3年を費やし撮り上げたそうだ。メラニー・ロランも「作らなければならない重要かつ素晴らしい作品」とインタビューで話している。
過去を忘れないために、未来に繰り返さないために、フランス人として“作らなければならない”作品。そういった認識を全スタッフ・キャストが共有していたのだろう。どのシーンも丁寧で、誠実に撮っている印象を受けた。実話に基づいた作品はその姿勢が最も大切に感じる。
