主人公のように長期的な一人旅はしたことがないけれど、
二泊三日の短い一人旅なら自分もしたことがある。
旅の目的は、遠く離れた地に住む友人に会いに行くためだ。
旅行中、友人に会えたのは、たった半日だけだった。
それ以外の時間はすべて一人で過ごすことが多かった。
遠く離れた地にいるにも関わらず、目に映ったそこに住む人々や風景を見るたび、頭の中に浮かぶのは、自分の身近な存在である家族や恋人、いつも遊ぶ友人達、そして自分自身のことばかり考えていた。
日常を離れたのに、考えていたのはいつもの日常だったのだ。
旅は不思議である。
どこか遠くへ行くと、自分のルーツであるその環境そのものの良さに気が付くことができるのである。