ミツヤヌス

東のエデン 劇場版 II Paradise Lostのミツヤヌスのネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

 前後編通して、主にボーイミーツガール成分に着目すれば結構好みだった。髪型のせいか少し大人びて見えるサキちゃんも、記憶がないはずなのに変わらない朗も良いなと思うので、二人が再び出会い、仲を深めていく前編なんかは特に良かった。朗が飄々としているからか、この二人はなんだか観ていてあまりクサ味がない。
 それから、細かい点、ことキャラクターの活躍においてはかなり楽しめた。パンツが精力的に活動していたり、ジュイスの色々な反応が見れたり、くすりとさせられた場面も少なくはない。
 ただ全体としてみると、なんとなく整理し切れていないような印象を受ける。まず、アウトサイドをぶん殴るっていう動機があったTV版と比べて、劇場版はゲームを続ける動機がなんだかフワッとしているように感じた。日本を救う最後の手段も、決定打とするにはちょっと弱いように思う。
 それから本編に引き続き、映画でも若干説明不足感が否めない。理解できないってほどじゃなくて、なんとなく腑に落ちづらい。たとえばミサイルをミサイルで撃墜するのってそんな簡単にいくのとか、総理大臣の息子だったとしたらそれがどのくらい「王様」に近づけるのか(ご承知の通り、現代日本では、親が総理だからと言って子供も総理になれるわけではない。二世であることがどの程度有利に働くか、ということ)、なんかを、作中のみで成立するような理論でも良いから、一言入れるだけで結構違うと思う。記憶も結構サラッと戻るけど、記憶一回消してたから消えないとかアリ?
 ただ、キチンとアウドサイドを殴ったあと、きっとこれから日本を立て直すために頑張っていくんだろうなって感じで、希望が持てる終わり方は結構好き。

 もう少しな作品だな…と感じたけど、多分自分はまだ表面を引っ掻いているだけなので、もっとしっかり考察したりすると、疑問点の解答が読み取れたり、味わい深くなるのかも知れない。そういう実力不足はあるにせよ、少なくとも一発で胸を穿つ作品ではなかったな、と思った。
 また、作中のニートをオタクに読み替える(実際ニュアンスとしてはそんな使われ方をしていたと思う)ことが許されるなら、ある種の賛歌、或いは希望を孕んだ話なのかな、と感じた。ゼロ年代って、秋葉原でハレ晴レユカイを踊ったり、マトリックスオフ会があったり、まだ今ほど開かれていなかった時代のインターネットを拠り所にして、そういう集まればなんかすげーことできる、みたいな期待感みたいなものがひょっとするとあって、その流れを汲んでいるんじゃないか…とか。ちょっと思った。裏づけも何もあったもんじゃないけど。