りょうすけ

ウォーリーのりょうすけのレビュー・感想・評価

ウォーリー(2008年製作の映画)
3.3

「ウォーリー(吹替版)」

第81回アカデミー賞長編アニメーション賞受賞作品。2008年公開当時に劇場で初鑑賞。今になって鑑賞すると、本作が決して子供向けのアニメーションではないことに驚く。

大量廃棄物によって地球が居住不可能になってしまう可能性や人工知能の発展と共に、ロボット間でも感情が芽生えたり、人間に対して反抗的になったりと、発展の裏側にある光と闇の行く末を描いたメッセージ性の強い作品である。

未知の外来物体であるウォーリーが宇宙船アクシオムの中の人間から迫害的な扱いを受けることなく、友好的な関係なのがよかったなぁ。イヴとウォーリーとの間柄もだけど、作中に嫌な奴が登場しないところが感情が無駄に揺さぶられないので好き。

ラストが説教くさくなかったり、余韻に浸らせる様な感じで終わったりと良い点は非常に多かったのだが、展開的には、凄く惜しかった。

メッセージ性が強い割に内容が薄い。ウォーリーとイヴの関係については美しく描けていたものの、それ以外の部分はかなり雑。

エンタメ性はどうしても薄くなってしまうが、荒廃した地球でのウォーリーとイヴの掛け合いがもっと観ていたかった。ほぼ言葉を発しない二人の掛け合いが好きだったのになぁ。アクシオムに乗り込んでからのシーンは終盤は良かったけど、取ってつけた感があったので残念。

ここからはもうちょっと良かったと思うところを…

CGアニメーションを専門に製作してきたピクサー史上最高の映像美だったのではないだろうか。4K版で鑑賞したけど、凄く鮮明な映像だったし、何よりもウォーリーとイヴがアクシオムから外に出るシーンの宇宙の美しさが際立っていた。

もう15年も前の作品だから4Kとは言え、たかが知れてるのではないかと思った自分が恥ずかしい。これほど綺麗なら他のピクサー作品も4Kで見直したくなる。

音楽の面から言うとウォーリーが観ていたミュージカル映画のシーンがやはり印象的だった。「ハロー・ドリー!」のワンシーンらしいが、キャタピラの足であるウォーリーと立つこともままならなくなってしまった人類が共にダンスを魅力的に思うという構図が美しかった。(後日「ハロー・ドリー!」も鑑賞。ウォーリーが惚れ込むのも納得の素晴らしい作品だった)

子供の時、あんまりイヴのことを好きになれなかったんだけど、多分見た目の性だったんだろうな。ウォーリーに比べてフォルムに面白みがないから子供目から見ると魅力的には感じないのかもしれない。再見のたびに新たな発見がありそうな作品だったので、機会があったらまた鑑賞したい。
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