ちゃんしん

美しき運命の傷痕のちゃんしんのネタバレレビュー・内容・結末

美しき運命の傷痕(2005年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

偶然?必然?それとも運命…?

これはもう素晴らしい作品としか言いようがない…。
始まりから終わりまで、とにかく凄い。 原作の凄さはもちろんのこと、脚本、演技、演出、音楽、セリフ…、どれもこれも凝りに凝った重厚な内容で、観るものを完全に圧倒してしまう出来だ。

オープニングで見せつけられるシーン…、小鳥の巣にある卵の中で、一番最初に孵ったカッコウのヒナは自分が生き延びる為に他の卵を巣から蹴落とそうとして勢い余って自ら落ちてしまうのだが、目の前の刑務所から出てきた男(たぶん3人娘の父親)に救われて命拾いをするというシーン。
このシーンだけでも唸ってしまう…。

子供の頃の父親の問題行為の為に、その後にトラウマを持ち続ける人生を送ることになった3人の娘たち。

彼女たちの人生は偶然から引き起こされたのか?
必然だったのか?
運命だったのか?

最後の最後にその原因の真実が明かされるが、それでもその問いの答えは分からない…。
人生というのは?だらけ…。
ボタンの掛け違いから狂ったり、一つの選択がその後を左右してしまう。
その選択も偶然だったのか?
必然だったのか?
それともそうする運命だったのか?
答えは誰にも分からない…。

人生は選択の連続、後悔など出来ない。

自分の選択により起こる人生の道程は偶然の産物なのか?
必然による産物なのか?
それともそうなる運命によって導かれた産物なのか?

誰にもその真実は分からない…。
人の一生は何によって決まっているのか?
明日、自分に何が起こるのか?
さえも、誰もしらない…。

生きていく上で偶然に訪れる幾つもの分かれ道を、人は、選択しているようで選択させられているのかもしれないという摩訶不思議な人の一生の不確実性を見事に表現した作品だと思う。

観ることをオススメ出来る秀作。
ちゃんしん

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