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美しき運命の傷痕のtakのレビュー・感想・評価

美しき運命の傷痕(2005年製作の映画)
3.8
「トリコロール」三部作が素晴らしかったキェシロフスキが遺したシナリオ案を、名作「ノー・マンズ・ランド」のダニス・タノビッチ監督が映画化した作品。

かつての悲劇的な事件を引きずる三姉妹とその母。それぞれが向かい合う様々な愛憎劇。

長女エマニュエル・べアールのパートでは、幾度も登場するらせん階段や壁の色彩が不安な彼女の心情を表現して見事。恋愛に臆病な次女カリン・ヴィアールのおどおどした演技が、この映画のユーモラスな部分を担当。愛にまっすぐな三女マリー・ジランは大学教授と不倫関係。

彼女たちの愛のかたちが繊細に描かれて、「細雪」を観ているような気持ちにさせる。

母キャロル・ブーケは、事件の後で言葉を失っているだけに、目力だけで説得力ある貫禄の演技。特にラストシーンで彼女が記す衝撃のひと言。そこには娘たちを守ってきた母親としての強い思いがあるのだろう。

ジャン・ロシュフォール、ジャック・ペランなど脇役も名優が配置されている。「007/リビング・デイライツ」のボンドガール、マリアム・ダボが旦那の浮気相手で登場。
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