遊

コックと泥棒、その妻と愛人の遊のレビュー・感想・評価

4.7
かーーー、とてもとても人に勧められる内容ではないのだが、強烈に荒れ狂っているのに精緻で、かゆいところを完璧に気持ち良く掻いてくれる、一寸も飽きのこない最高作品だった......

原色カラフルの均整でユニークな画面、ストレンジでストレートな物語、あまりにもクドすぎてクセになるキャラクター(あの汚さと横暴さがダンブルドア先生と同じ役者なの嬉しすぎ)、食欲と性欲がダーティーかつエレガントに(それがデカダンスというもの?)渾然一体してゆく既知で未知の昂奮、インモラルでシアトリカルでケレン味のバズーカみたいなラスト 家でちゃんと拍手した

そして、こういう「圧倒的作家性の持ち主が自分の世界観をまったく損なわずに重心をエンタメに寄せた」作品が大好きすぎる ああ、たんに狂人なのではなくて 狂いを飼い慣らす傑物なのねと改めて畏敬する ホドロフスキーのサンタサングレとか、ランティモスの哀れなるものたちも ほんとにめちゃくちゃ考えて、やりたいこと、やってもいいこと、絶対に譲れないやりたくないことのぎりぎりの攻防をしたんじゃないかなと勝手に思い馳せてしまう
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