三橋達也、石原裕次郎、北原三枝の「勝利者」、大坂志郎、川地民夫、浅丘ルリ子の「明日を賭ける男」、に続く日活ボクシング映画の傑作。小林旭の人気に火がついた本年の舛田利雄の名作「女を忘れろ」と共にその直前に小林、浅丘コンビで松尾昭典監督の最高傑作が誕生した。助監督に浦山桐郎がついたのが幸いしたのか、いつも空回りが見られた松尾の演出に本作に限って隙がなく、ラストシーンまで秒を争うスリル満点の娯楽映画だ。二人の親友で影を背負った小高雄二の好演が素晴らしい上に、白木マリの献身的なバーのママ、タカリ屋でお調子者岡田真澄等助演の豪華さと言ったらない。また、立川での小高の姉奈良岡朋子を訪ね3人の硬い結束が示された場面が強く印象に残った。当然だが小林の歌とアクション、浅丘の透き通った美しさに見惚れてしまった。