キングジョー

素晴らしき哉、人生!のキングジョーのレビュー・感想・評価

素晴らしき哉、人生!(1946年製作の映画)
3.8
デビット・クローネンバーグ監督が
「『素晴らしき哉、人生!』をハートウォーミングなコメディと考えている人々は、いったいなにをみてるのやら」
とディスってたので観てみた。

うん、ラスト普通に泣けた。

じゃクローネンバーグはこの映画のなにが気に入らなかったの?と思いよく調べたら、決してディスってるわけじゃなくて、映画のなかのパラレルワールドであるポーターズヴィルという荒んだ世界こそが現実社会であると言いたいらしい。それをとってつけたようなハッピーエンドでお茶を濁しているのが気に入らないのだろう。
確かに昨今のヒット作である『ジョーカー』にしても『パラサイト』にしてもポーターズヴィルの世界観がそのままあてはまる悪夢のような世界であり、今の現実社会とリンクしている。
『素晴らしき…』も劇中で、主人公とポーターとの経済的な対立を丁寧に描き、荒廃したポーターズヴィルという現実が必然的帰結であるという証明をしっかり行っていた。だから観ている側にも主人公の感じる恐怖がちゃんと伝わってきた。ラストのハリウッド的なオチはともかく、当時既に今の資本主義社会の病巣を見抜いていて、それを描いていたからこその名作なんだな、と思いますた。