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按摩と女のkurageのレビュー・感想・評価

按摩と女(1938年製作の映画)
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15年ほど前、友人の家で食事をいただき、帰ろうとした矢先「今日、按摩さん来る日だからぜひやってって」と真っ暗な座敷に通され、按摩を受けたたことがある。
按摩さんの柔らかな指先が的確に凝りをほぐし、あまりの心地よさにすぐに寝落ちしてしまった。もったいない。
幼い頃、自宅にもたまに来てもらっていたが(たぶん地方にはそういう互助文化があった)父の部屋に入るとき、彼らが夜なのにサングラスをかけているのが不思議だった。子供だから何も知らないし想像ができなかったのだ。
だから、映画にある無邪気な子供と按摩さんのやりとりがとても微笑ましかった。そこにはリテラシーとか余計な気遣いはなく、相手を認めたまっすぐな人間同士の心の交流があったように思う。
話の本筋は按摩さんの恋であるけれど、人間と人間のやりとり、ディティールがハッとするほど美しかった。高評価なのもうなづける。
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