Jimmy

暗い鏡のJimmyのレビュー・感想・評価

暗い鏡(1946年製作の映画)
4.5
監督はロバート・シオドマク、双子はオリヴィア・デ・ハヴィランドの名演(二役)。
あるアパートで男が殺されたが、男が殺される直前に一緒にいた女性コリンスは多くの人達に目撃されていたので、当然犯人だと思われた。しかし、女はテリーとルースという瓜二つの双子だった……という面白いサスペンス映画だった。

映画冒頭である部屋が映って、鏡が割れていて、カメラが移動していくと刺された男の死体。場面変わって、売店の売り子(オリヴィア・デ・ハヴィランド)がキャンディなどを売っている姿。一方、刑事(トーマス・ミッチェル)が殺人事件の聞き込みをしていると、男が殺される直前に「若くて綺麗な女性と一緒にいた。見ればわかる!」という目撃者が多数いる。刑事が売店売り子女性に事件発生時のアリバイを確認すると散歩していたことがわかり、彼女が散歩中に会ったという人達の確認も取れて、アリバイは完璧。
しかし、刑事が彼女の家に行くと、双子の姉がいた。そこで捜査は難航する。どちらかが犯人だろうが、二人とも逮捕や起訴するわけにもいかない。
そこで、彼女(たち)と知り合いの精神科医が二人の診察をすることになって、だんだんと双子の一人が異常者ではないか……という疑惑が浮かんでくる。

こうして精神分析が流行していた当時の映画は「ニューロティック映画」と呼ばれて、精神を病む人が主人公の映画が作られていた。本作もそのカテゴリー。他にはヒッチコックの『白い恐怖』、キャグニー主演の『白熱』、マンキウィッツ『記憶の代償』などなど多くのニューロティック映画あり。

この映画で素晴らしいのはオリヴィア・デ・ハヴィランド。
性格が異なった双子を演じわけたあたりが素晴らしかったが、双子の彼女たちを同じシーンで撮影した技術は見事!
この映画は1946年の作品なので、現在のようにVFX技術も無かった頃に、同じ場面で二人のオリヴィア・デ・ハヴィランドが違う演技をしているのを同時に映している素晴らしさに見惚れてしまう。

しかも、双子の個性が実は全く異なるのではないか……となってくると、双子ではないが「姉オリヴィア・デ・ハヴィランドと妹ジョーン・フォンティンが実際に仲悪くなったエピソード」などを思い出しながら観てしまった(笑)

それにしても、ロバート・シオドマク恐るべし、の一本だった。
Jimmy

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