救済P

ドラえもん のび太のドラビアンナイトの救済Pのレビュー・感想・評価

3.3
ドラ映画12作目。

とにかくツッコミどころが多いドラ映画。
これまでドラ映画のツッコミどころというとタイムパラドクスに関わる話題が多く、重箱の隅を突いたようなものだったが、今作はそもそも意味が分からない。

「絵本入りこみぐつ」でアラビアンナイトの絵本の世界に入り込むもしずかちゃんを残したままのびママが絵本を焼却してしまう。ドラえもんたちはしずかちゃんを助けるためにアラビアンナイトの舞台である794年のアラビア、バグダッドに向かう。

どういうこと?絵本の世界と794年のバグダッドがなぜ地続きになっている?ドラえもん曰く「シンドバッドは実際の人物をモデルにしているので空想世界とつながっている」とのことだが説明になっておらず全くの意味不明。これまで過去改変の結果未来が変わるのか、それとも織り込み済みの未来なのか、はたまたパラレルワールドなのか扱いが適当で矛盾を孕むことが多かったが、空想世界と現実世界がほとんどわけもなくつながっているという設定は初めて。
その他、いつもの「なぜこのひみつ道具を使わない」系の疑問が多かった。散々、過去作でタイムマシンを使って問題解決しておいて今回に限ってママが本を焼く直前に戻るのではなくわざわざバグダッドまで戻るという選択は率直に意味不明だった。

ひとまず矛盾をおいておきシナリオについて、序盤の退屈さが歴代屈指レベル。いろいろな絵本に入り込み絵本の住人と交流するさまは特に楽しくない。
バグダッドに舞台が移ってからはそれなりに楽しかった。特に過去の栄光に縋り、向上心のなくなったシンドバッドの成長が綺麗に描かれていた。冒険の途中からひみつ道具がほとんど使えなくなる縛りによって、ドラえもん一行が死にかねない危機に遭遇する、道具に頼り切っていたシンドバッドが剣術で立ち向かうなど、地力が試される展開はアツかった。

冒険自体のクオリティは高いが、ドラえもんの頭が悪い&意味不明の理屈が気になってどうにも楽しめない作品だった。
救済P

救済P