ひでぞう

都会のアリスのひでぞうのレビュー・感想・評価

都会のアリス(1973年製作の映画)
4.9
これは大事な映画。作家フィリップが、9歳の少女アリスを連れて、アムステルダム、そして、ヴッパタール、そして、ルール…と、祖母の家を捜して旅する。アリスの表情、しぐさ、その一つ一つが、9歳の少女の、そして、そのなかに潜む女性の、その本質が、とてもリアルに浮かび上がってくる。アリスは、不安になるし、怯える、甘える、怒る、ねだる、などなど。しかし、フィリップは、振り回されながらも、アリスを守っていく。振り回されることが好きでしょ!そうなのだ。いつも、男は振り回される。そして、それを喜んでいるところがある。フィリップは、アリスの手を引いて歩く。この瞬間こそが、かけがえのないものだ。この瞬間を記録しただけでも、奇跡のように感じる。
 音楽も含めて、ソフィア・コッポラの『ロスト・イン・トランスレーション』は、この『都会のアリス』の変奏曲ではあるまいか。
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