スガワラ

さようならCPのスガワラのレビュー・感想・評価

さようならCP(1972年製作の映画)
3.4
原一男(1972)の疾走プロダクションにおける第一作目。ドキュメンタリー映画は映し出された出来事に対する評価と、パッケージ化された映画が事実にどれだけ迫っているのかに対する評価が混在している。私は批評家ではないのでこの映画の簡単な感想しか記すことが出来ない。
半世紀前に取られた作品でありながら、ここに描かれた「健常者」像は現在も揺らぎなく存在している。子供の手でカンパさせる親や、自分たちが「健康でありがたいから」というオメデタイ喜捨精神、助けてやろうとするメシア気取りの会社員。そして人間に向けているとは思えない視線の暴力も彼等に投げかけられる。彼らは存在するだけで訴えへと変わる。それは彼らが決して望んだわけではないのだ。それは横田の催しを「見世物」といった警察官の言葉に現われている。
「写真」は見られる側を意識した彼らにとって見る側である「健常者」に対して「見る側」に回る抵抗である。このモチーフはこの映画において「健常者」や「普通」といった言葉が排除してしまうエネルギーとして機能している。そのエネルギーは従来の秩序に対する抵抗であり、彼等にとって今日を生きる活力であった。
スガワラ

スガワラ