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ロングタイム・コンパニオンのRのレビュー・感想・評価

4.5
はじめて見たときは、知人にLGBTモノの傑作と勧められて、何も内容知らんと見て、面白いけど変わった映画やなーと思った。今回は2回目の鑑賞。冒頭、いきなりヌーディストビーチでムチムチの男がお尻丸出しで海へ入っていく。素晴らしいオープニング👏 続いて、ナイスボディの美男カップルが続々ヌードで登場、80sの浮かれたチープポルノみたいな音楽でセックスシーンがはじまって、おいおいマジかよ………なかなかおもしろいじゃないか😤と思って見ていたら、ゲイの間で謎のガンが流行り始めている、と不穏なニュースが。そして、数年おきにシーンが変わりつつ、話が進んでいくんやけど、AIDSがまだゲイのみに起こる癌のような病気だと考えられていた時代、いろんな距離感でゲイボーイたちがAIDSに悩み、苦しむ姿が描かれていく。実際AIDSを罹患する人、看病する人、その友人たち、さらにそれぞれがそれぞれに関わっている人たち、という風に、群像劇みたいなスタイルでストーリーが展開。AIDSがどのような病気で、どのように感染するのか、まだハッキリわからない時代の人々の不安を描くシーンは出色で、当時のゲイコミュニティーの空気感が鮮やかに描かれているのが、新鮮でおもしろい。病室に横たわる患者とキスをしたあと、トイレに入って首を洗うシーンはなかなか衝撃的。いろんな意味で、すごく勉強になる映画だと思った。悲しいシーンもセンチメンタルにならず、常に現実を一歩先に進む淡白さ。普通の映画で想像するテンポ感で見てると、サバサバし過ぎなくらい。さっきまで元気だった彼が、いつの間にか体調を崩し、入院したと思ったら、次の瞬間には死んでしまっている。ふだん普通に現実世界に生活している我々は、現在という時間のみを現実として、すべてが線でつながっているような感覚で生きている。しかし、実際に過ぎてしまった時間を思い返そうとすると、ちょうどこの映画のように、途切れ途切れで、進行速度が大変はやく感じられる。ついさっきまで現実だった状態は、いつのまにか過去に呑み込まれてしまって、現実はただ淡々と過ぎ去っていく。だからこそ、最後にワンシーンだけ、映画的に激しい悲しみを感じさせるとこがあって、そこのエモーションは際立っていた。切なくて、苦しい。現実が過去と溶け合い、空想と溶け合い、愛と悲しみが溶け合っていた。うつくしいシーンだった。アメリカ映画とは思えぬ、ヨーロッパ的な、不思議な感傷だった。俳優さんたちは、みんなどっかで見たことあるイケメンばかり。このあと有名になっていった人たちなのかな? 映画だからしょうがないとはいえ、いやいや、ゲイの全員がこんなセクシーな白人のイケメンなわけちゃうから! って文句が出てもしょうがないくらい美男子揃い。イケメンゲイが好きな人たちには強くオススメしたい。それにしても、医学の進歩は目覚ましいもので、いまやHIVウィルスは制御可能なものとなり、ふつうに健康な人たちとほぼ変わらない寿命を享受できるほどにまでなっている。しかし、生老病死、といわれるように、生の根源的苦しみから逃れられるわけではない。いつどんな状況になるか、何も保証がないのが人生だ。しかも、癌離婚などということばが当たり前のように聞かれる現代である。自分も本作の彼らと同じように、愛する人のために献身的になれるだろうか。自分が病に伏すとき、生の喜びを失わず、絶望することなく、楽しみながら死ねるだろうか。人間だれしも絶対に逃れられない、生と死。死はいつどんな形で訪れるか予想がつかない。てことは、いつ死んでも悔いがない、臨終只今な生き方を常にしておかなければならない、ということだ。悔いのない生き方とはどんな生き方か。それには3つのことが重要だと僕は考える。そのうちの二つは、自分を偽ることなく、自分らしく生きること。愛している人(たち)と一緒にいること。これができていた彼らは、たとえ病気で死んだとしても、幸せだったにちがいない。それにしても、やっぱ男同士の友情や愛情ってすごいよなー、何にも負けない強さが出せる。男女間の友情の移ろいやすさとは比べものにならない。女同士もそうなんでしょうか。女じゃないから分からないので、ちょっと気になりますねー。てことで、エキサイティングな映画ではぜんぜんないけど、いろんな意味で見る価値が高い作品だと思うので、今後もオススメしながら生きていきたいかもしれません。

(ちなみに、めっちゃどうでもいいですが、ちょー久々にパーマかけたのが嬉しいのでプロフィール画像にしてみました😆)
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