ヴぇる

アナスタシアのヴぇるのレビュー・感想・評価

アナスタシア(1997年製作の映画)
3.8
アメリカアニメーション界の巨匠ドンブルースが製作.監督を務め独立してからのキャリアのハイライトとなった作品だ。

彼自身はディズニーの「眠れる森の美女」(1959)~ロバと少年(1979)まで数々の原画、動画、作画、監督を担当しヒットを飛ばしてきた米のアニメーション業界では神と崇められた人物であり、退社後もヒットを飛ばした。
そして、FOX初のアニメーション映画としての白羽の矢が立ったのが彼だった。

説明はこのぐらいにして、子供時代に視聴した人は多いだろうがその記憶がおぼろげになっていたため再視聴した結果、やはり美しいとしか言いようがない作品だ。

彼女が王妃に認められるまでの展開は、歳を重ねてもどのチャプターも楽しめる。
ミュージカル場面は数が多く乗れる曲の目白押しで、動きも多彩だ。
列車での2人の掛け合いは素直に笑えるし、当時にはないコメディ的な流れだった。これは主演のメグ・ライアンも語っていたが成程と頷く場面は多い。
加えて登場人物の動きが目で追いきれないほど多くドラマの演者のような動きを模しており、実際に演技をしてもらってそれをトレスしたシーンも多い。これは他のアニメとは一線を画す仕上がりになっている。

さて、勿論ディズニーと比較される今作だが、唯一弱いのはヴィランズであるラスプーチンだろう。
In the dark of the nightは素晴らしい。今作のハイライトと言える出来でディズニーにも勝てる要素だが、他が余りにも酷い。
戦う動機も戦闘力も敵役としては物足りなさを感じる。

あと一点苦言を呈すのであれば、最終戦闘シーンで明らかにコマ不足でカットがおかしいシーンが何度かある。
作画が力尽きたのか?と勘違いするレベルで、残念だ。

総評としては、さすがドンブルースという出来で90年代のノスタルジックなアニメーションを楽しめるし唯一無二のアニメーションとしてひとつの到達点に達した映画である。
最後にお気に入りのシーンとしてEDに劇中のシーンがエンドロールと共に歌に乗せて流れるのはこの年代のよくあったシーンだがこれが私は好きでEDまで楽しめてくれて嬉しかった。
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