美しい音楽と映像の中、
少年少女たちはこの街から出ようと足掻き、這いずり回る。
それでも無力で、どこにも行けないことを知る。
残酷でやさしく、息のできない水槽のようなあの日々を、直視できない。
売春、強姦、殺人、万引き、窃盗、いじめ、自殺。インターネット。家庭不和。
多くの大人たちが目を背け、あまつさえ利用する。子どもたちは本当はもうすべて気付いているのに、大人たちはまだわからないふりをしている。
この世界はずっと、彼らには生きづらい。加害者であり、被害者でもあった。
13歳だった自分自身が、まだそこにいる気がする。眩い光が瞼に差し込み、剃刀のようにえぐる。やはり、未だ見れない。
好き嫌いの分かれる映画だ。
同じようにあの時代を生きた、少年少女だった大人に見てほしい。