14歳の頃に初めて観て、あまりの衝撃に「この映画に取り憑かれてしまうから、もう観るのはやめよう」と思った。
それから月日は経って、十数年ぶりに再度鑑賞した。
俺は大人になった。
この映画に取り憑かれることはなかった。
そりゃそうだ。あの頃とは思想も、感情も、身体も、何もかも変容しているのだから。
ただひとつ、思い出したことがあった。
それは「記憶」というにはあまりにも朧げで、しかし、そう呼ぶほかないもの。
あの頃の記憶。
14歳の頃の記憶。
表面的な記憶ではなく、もっと深層にある記憶を思い出した。
俺はね、本当は、
本当は、この映画に取り憑かれたかったんだ。